このたびはご注文をいただき、誠にありがとうございます。
本機は、お客様の強いこだわりとヴィンテージへの深い愛情を受けて、ichimonziが一点一点丹念に仕上げた特別なJazzmasterです。
ご依頼内容
・ボディ:
レッドが自然に退色した2トーンサンバーストにて再塗装。
控えめなレリックと、実在するヴィンテージを参考にした強めのウェザーチェックを施し、枯れた質感に。
ピックガードは黒3プライを新規手配し、面取り加工と艶感にもこだわりました。
エルボーコンター部の剥がれは、実使用に伴う自然な摩耗感を再現しています。
・ネック:
ブログで紹介した「ジミ・ヘンドリックスモデル」と同様の手法にて、
ローズウッド指板は、ハカランダを思わせる深く上質な黒へと染め上げました。
ネック裏は「さらさら」とした演奏性を追求しつつ、クリア感と日焼けの風合いを絶妙に融合。
Fenderロゴの再貼付も行い、当時の佇まいを再現。
・パーツ類:
金属は過度なサビを避け、使い込まれた鈍い輝きに。
プラスチックパーツは黄ばみすぎず、あくまで自然な経年を表現しました。
ブリッジはお持ち込みのムスタングタイプを装着。ご希望があれば、使用感に応じた代替案もご提案いたします。
ichimonziのこだわり
このギターに込めたのは、「ただの加工」ではなく、記憶の風景にある一本のような“時の質感”です。
ラッカー塗装の透明感を活かし、塗膜の奥からにじみ出る経年美。
ウェザーチェックは温度湿度の変化を用いた自然な手法により、一本ごとに異なる表情を刻みました。
ネックから指板にかけての色味や手触り、ピックガードの縁に浮かぶわずかな艶感、
どれもが演奏者の視線と指先に応えるディテール。
それぞれの加工には、再現ではなく「再構築」の視点をもって取り組んでいます。
process
1. ボディ塗装の再構築
- 旧塗装の剥離
オリジナルの塗膜をすべて剥がし、木地のコンディションを丁寧に確認します。




- 目止めと下地処理
導管を活かしつつも滑らかに整えることで、後の色乗りと質感に深みを与えます。 - サンバーストの再塗装(ニトロセルロースラッカー)
ご要望の「レッドが退色した2トーンサンバースト」を再現するために、複数の色を層状に重ね、光と時間の経過によるにじみを再構成。




- クリア塗装(ニトロセルロースラッカー)
ツヤを抑えつつも深みのある表面を目指し、薄く均一に吹き重ねました。
- ウェザーチェック加工
本物のヴィンテージギターと同様に、温度変化による自然なクラックを発生させる技法を採用。
一点ごとに異なる、唯一無二の表情を生み出します。




2. ネック加工
- ネック塗装の剥離と下地処理
演奏性と質感を両立させるため、裏面は「さらさら」な肌触りに。指板周辺も滑らかに整えました。


- 指板の染色と仕上げ
ローズウッド指板は、ハカランダをイメージした深い黒へと染色し、自然な艶を持たせる仕上げに。 - クリア塗装(ニトロセルロースラッカー)
ネック全体をラッカーで包み込み、やや日焼けしたような経年感を表現しました。



- Fenderロゴの再貼付
オリジナルの佇まいを再現するため、バランスと位置に細心の注意を払い貼付・定着。
3. パーツ類の加工
- ピックガードの面取りと艶調整
新品の黒3プライガードを、使い込まれたもののように加工。表面の艶もやや落とし、周囲に馴染む仕上げに。 - プラスチックパーツのエイジング
ノブやカバーは黄ばみすぎず、「空気に馴染んだ白」になるよう慎重に加工。 - 金属パーツのエイジング
サビつかせるのではなく、手の脂や空気によってくすんだような質感を再現。時間を感じさせるマットな風合いに。 - ブリッジの交換
お持ち込みのムスタングブリッジを装着。使用に問題がないか細かく確認し、セットアップ。
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