今回お預かりしたのは、Fender Mexico製のストラトキャスター。
これまで数々の音を刻んできたこの一本に、再び光を宿すためのフルリフィニッシュをご依頼いただきました。
テーマは、Fender Custom Shop 1961 Stratocaster Heavy Relic。
エイジド・ヴィンテージホワイトの塗装の下から、スリーカラー・サンバーストがわずかに覗く──
まるで記憶の層が時間を超えて滲み出すような、美しいフィニッシュです。
カスタム内容
- ボディ全体のラッカー再塗装
Aged Vintage White over 3-Color Sunburst
→ 多層仕上げによる深みのある色彩と、時間を経たような自然な剥がれ感を再現。 - ネックのビンテージ加工
→ 握った瞬間に“鳴る”感触がよみがえるような、手触りと質感を重視。 - 全パーツのヴィンテージエイジング処理
→ 経年変化をイメージしながら、一つひとつに魂を吹き込みました。
process
① 分解と下地確認
作業は徹底した分解から始まります。
Mexico製ながら造りはしっかりしており、パーツのフィッティング精度も良好。
塗装剥がしを行い、木地の状態を確認しながら、細かな凹凸を整え、オーバーフィニッシュのための下準備を行います。




② 下地仕込みと3TS塗装
今回は“Vintage Whiteの下からサンバーストが覗く”仕様。
そのため、まず3 Color Sunburstでボディ全体を塗装します。
このレイヤーが後の「レリック」で顔を覗かせる重要な層になります。




③ トップコート Vintage White & ラッカー仕上げ
Sunburstの上に、Aged Vintage Whiteを重ね吹き。
あえて少し透け感を残すことで、のちの加工時に奥行きと“記憶の層”を表現できるように。
トップコートはすべてラッカー仕上げ。
乾燥後、ウェザーチェック(ラッカー特有の割れ模様)が自然に入るよう、温湿管理も調整。





④ Heavy Relic加工
最も神経を使う工程です。
パーツ装着前に、ボディ各部に打痕・擦れ・剥がれを再現。
使用感のバランスを見ながら、あくまで“使い込まれてきた自然さ”を意識して加工を行います。


⑤ ネック&パーツ エイジド加工
ネックは軽めの着色と摩耗表現で、手に吸い付くような使用感に。
フレット脇やナット付近など、実際に摩耗しやすい部分には時間の痕跡を刻みました。
パーツ類もすべてエイジド加工済。ブリッジ、ペグ、ピックガード、ノブ、すべてにリアリティを持たせています。

▶ 仕上がり
完成したギターは、重厚な存在感。
Custom Shopクオリティと同じ手法で仕上げることで、
音とビジュアルの説得力が格段に高まりました。
この一本が、新たなステージでどんな音を奏でてくれるのか──
私たちも楽しみにしています。
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