ご予約を頂きまして誠にありがとうございます。
FujigenのTelecaster のリフィニッシュを行います。
国産らしく、作りも丁寧で、木材の良質です。
カスタム内容は
ボディ、ネック、パーツのビンテージ加工、ピックアップ交換
■ ピックアップ交換
- フロント・リアともに Lindy Fralin Vintage Hot Tele セット に交換(元ピックアップはセイモア・ダンカン)
- ピックアップカバーは Polished Nickel
■ カラーリング・仕上げ
- 寒色寄りの White Blonde(木目がうっすら透けて見える仕上げ)
- ピックガードは以下のいずれかを希望
└ マットな黒
└ 赤黒い斑模様 - Journeyman Relic(浅めの使用感を表現したレリック加工)を希望
- 加工の参考例:ブログ掲載の 「CUSTOM-MADE 1951 HS Telecaster Relic」 に感銘を受けている
■ その他の項目
① ネックのリフィニッシュ
- 透明感のあるラッカー仕上げ
② フレット&ナット交換
- ジャンボフレット(ニッケル)
- 無漂白オイル漬け牛骨ナット(削り出し)
③ ヘッドロゴ変更
- ichimonzi ロゴ(ステンシルタイプ)に変更
④ 弦交換
- SIT STRINGS 10-46
こだわりのポイント
1. お客様の感性と音の理想に寄り添うピックアップ選定
- Lindy Fralin Vintage Hot Tele の繊細な倍音と立体的な音像
- フロント・リアのセット交換により、トータルで音のまとまりとバランスを実現
- 素材だけでなく、取り付け・ポットや抵抗の整合性調整まで含めた設計にこだわる
2. 塗装とレリックの質感は「自然さ」と「品」を両立
- お客様の求める「White Blonde」は木目の透け感・寒色寄りのニュアンス・上品な透明度
- ナチュラルなエイジングを意識
3. “弾いて馴染むネック”を目指したリフィニッシュとセットアップ
- 透明感のあるラッカー仕上げは、経年変化の美しさと手触りの滑らかさを両立
- ジャンボフレット&牛骨ナットによる構成で、音の立ち上がりやサステインにも配慮
- すり合わせ・指板処理も含め、トータルでの演奏性向上を目指しました。
4. ブランドへの信頼に応えるためのロゴ加工
- ロゴをクラシックなステンシルでichimonziロゴを塗布
5. ハードウェア加工での仕上がりの一体感
- コントロールプレート、ノブ、ネックプレートのレリック加工は、塗装の風合いに自然に溶け込むように
- 加工しすぎず、“ちょうど良い古さ”と統一感を意識
- 仕上げにおける「金属と木部のエイジングの整合性」にも注力
3. 細かく自然なウェザーチェック加工
- 温度差と湿度管理を駆使した人工的な環境変化によるラッカーの自然収縮を再現
- クラックの幅・深さ・方向性まで調整し、年月を経たような自然さを演出
- ボディ全体に均一ではなく、使用部位・癖に合わせた局所的表情を意図的に配置
- 照明・角度によって現れる“目に見えたり見えなかったりする”繊細な表情を大切に
process
ボディ加工の過程
既存塗装の剥離
→ 古い塗膜を丁寧に除去し、木地を整えます。




目止め処理
→ 木目の凹凸を整え、塗装の密着性と均一性を高めます。
下地塗装(ニトロセルロースラッカー)
→ 5回塗布して十分な厚みと透明感を形成。


上塗り(ニトロセルロースラッカー)
→ 3回塗布し、風合いと深みのあるホワイトブロンドを表現。


エイジング加工 & ウェザーチェック
→ 使用感を自然に再現し、細かなクラックで経年美を演出。
ネック加工の過程
既存塗装の剥離(指板を除く)
→ 木の表情を活かすために、丁寧に旧塗膜を除去。


下地塗装(ニトロセルロースラッカー)
→ 3回塗布し、自然な風合いを整えます。
上塗り(ニトロセルロースラッカー)
→ 3回塗布して滑らかな手触りと透明感を実現。
→ ステンシルでロゴを塗布
日焼け加工(サンタン処理)
→ 長年使い込まれたような色の深みと風合いを再現。



エイジング加工 & ウェザーチェック
→ 経年変化による自然な使用感とクラック表情を加味。
フレットの打ち込み(フレット交換)
工程ステップ
- 旧フレットの取り外し
→ 木部を傷めないように、専用工具で慎重に引き抜き。
→ 指板面の浮き・割れを防止するため、湿度管理も併用。 - 溝の整形・下処理
→ 古いフレットの溝に残ったゴミや変形を整え、新しいフレットがしっかりと収まるよう調整。
→ 必要に応じて溝を軽く再カット。 - 指板の確認・修正
→ 指板の反りや段差をチェックし、必要があれば修正研磨を行う(特にエッジ部)。 - フレットの加工と打ち込み
→ ニッケル製ジャンボフレットを指板Rに合わせてあらかじめカーブ加工。
→ 専用のプレス機で1本ずつ丁寧に打ち込み、しっかりと密着させる。 - 端部の処理
→ フレットエンドを手作業で均一に整形・角取りし、滑らかなフィーリングへ。
→ 特にネックサイドの感触に注意を払う。

金属パーツのレリック加工工程
(対象:コントロールプレート/ノブ/ネックプレート など)
新品の輝きではなく、「長年使い込まれた味わい」を再現。木部のウェザリングと調和するように、経年による変色・摩耗・くすみを施します。
工程ステップ
- パーツの下処理
→ 表面のクリアやメッキ保護層を、ペーパーや溶剤で部分的に除去。
→ ムラを意図的に残し、自然な摩耗跡を再現。 - 酸化処理または硫化処理(素材により)
→ 酸化剤や燻し液で、くすみや変色を人工的に再現。
→ 鉄系には酸、ニッケル系には硫化カリウムを使い分け。 - 物理的なエイジング
→ エッジの削れ、打痕、小傷などを加え、使用感のリアルな痕跡を表現。
→ 角を落としすぎず、「丁寧に使ってきた感」を保つ。 - 再調整と仕上げ
→ 加工後にサビの進行を止める処理やオイル塗布を施し、実用性を損なわないバランスに。


■ 2. プラスチックパーツ(ピックガード)のレリック加工工程
表面の艶を落としつつ、摩耗・擦れ・日焼けによる変色感を再現。ボディとの風合いの統一を図ります。
工程ステップ
- 表面の艶消し処理
→ ペーパーや研磨スポンジ(#800〜#1500)で光沢を抑えたサテン調へ。
→ 摩耗部分と未使用部分のコントラストを意図的に設計。 - 部分的な擦れ・傷加工
→ ピッキングの当たる位置や角に、軽い擦り傷や使用痕を入れる。
→ ピックアップ周辺など弦の軌道を意識した配置でリアリティを強化。 - 日焼け・退色表現(カラーによって)
→ 暖色系の照明や紫外線ライトを使用して、ごく軽い色味の変化を付加する場合も。
→ 全体がのっぺりしないよう、経年のムラ感を意識。 - 仕上げ調整
→ 全体を軽くコンパウンドでなじませ、加工感が“浮かない”自然な質感へと整える。


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