Custom Made Vintage-Correct Nitro Necks with Natural Checking

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本ページでは、ご依頼いただいたネック4本の仕上げについて、こだわり・工程・仕上がり要点をまとめました。
・Fender Custom Shop Stratocaster Neck ×2 (JC223/JC193)
・Fender Stratocaster Neck ×1(JC1617)
・Fender Telecaster Neck ×2 (JC3941)


ハイライト(要点ダイジェスト)

  • 日焼け再現:ボディ現物なしでも整合が取れるよう、各個体のネックポケット形状を再現してから日焼け境界を設計。クルーソンタイプのペグ影も再現。
  • デカール再仕上げ貼り替えデカールにも日焼け・レリック処理を実施。トップフィルム剥離タイプは段差消し(フラット化)まで対応。
  • 自然発生ウェザーチェック:温度・湿度管理で自然条件に近いクラックを発生させ、刃物由来の不自然さを排除。
  • 木部とラッカーの日焼けを分離設計:木部(タン)塗膜(アンバー変調)を別レイヤーでコントロールし、経年の質感差を忠実に再現。
  • 仕上げの方向性
    • Tele(JC3941):’52 Heavy Relic(John Cruz Masterbuilt)系の作例を参照。
    • Black One(JC1617):John Cruz系 Black One のでディテール重視。
    • Number One(JC223/JC193):FCS Limited Editionに見られるRelic加工」として一般解釈に最適化。

各ネックの方向性と仕上げポイント

Telecaster Neck(JC3941)

  • 方向性
    • Fender Telecaster 52 Heavy Relic Masterbuilt John Cruz (2018)(Ten Guitars)
    • 検索案内:Googleで Ten Guitars FENDER TELECASTER 52 HEAVY RELIC MASTERBUILT JOHN CRUZ (2018)
  • 主な処理
    • ラッカー再塗装 → Heavy Relic相当の摩耗と光沢ムラ
    • 日焼け境界はポケット再現に基づいて設計
    • ペグ影(クルーソン型)を局所的なタンで再現
    • ウェザーチェックは自然発生で極細〜中幅を混在
  • こだわり
    • アンバー量を過不足なく(焼けの深さと相反しない透明感)
    • 指板端〜ロール感の磨耗表現は曖昧にせず“演奏で付く癖”に寄せる考証

Stratocaster Neck – Black One 系(JC1617)

  • 方向性
    • John Cruz系 Black One、コンター黄変部の意匠や境界の“気配”に整合を取る。
  • 主な処理
    • ラッカー再塗装/レリック
    • 木部タン(地肌)と塗膜アンバー二重管理
    • 自然ウェザーチェックで極端な方向性を回避
    • リフレット、ナット交換
    • ポジションマークの日焼け加工
  • こだわり
    • コンター形状のトレースを尊重しつつ、ネック側は“同時代の使われ方”で辻褄を合わせる設計
    • 艶の抜け方(ベタ艶〜乾いた半艶までの揺らぎ)を面ごとにバラす

Stratocaster Neck – Journeyman Relic(JC223/JC193)

  • 方向性
    • Fender Custom Shop Limited Editionの一般的な Journeyman Relicとして設計。
  • 主な処理
    • ラッカー再塗装/エイジング
    • CS “Limited Edition”デカール(お客様ご支給)をヘッド裏に貼付
    • デカールはトップフィルム剥離タイプ:貼付後、段差を丁寧にフラット化
    • 色味:薄いアンバー傾向を下層でつくり、クリアでまとめ僅かな黄変の奥行きを演出
    • リフレット、ナット交換(JC223のみ)
    • ポジションマークの日焼け加工
  • こだわり
    • “使い込まれたが乱暴ではない”というJourneymanの思想を崩さず、演奏起因の摩耗と保管由来の艶落ちを併記。
    • デカール周辺の肌理(きめ)を段差消し後に再構成し、“貼りました感”の消去に注力。

こだわりの技術メモ(詳細)

  1. 日焼けの整合性
    • ボディ現物がないケースでも、個体別のポケット形状冶具で再現。ネック装着状態の線の出方を先に決め、木部タン/塗膜アンバーを独立に設計。
    • ペグ影(クルーソン)は反射・散乱を模した濃淡で“面の馴染み”を先に作ってから境界を締める。
  2. デカール処理(トップフィルム剥離タイプ)
    • 剥離タイプは段差のトレードオフが大きい。フラット化塗膜の積層→研ぎ出し→表層クリア再構成で対応。
    • 最終は“段差ゼロ”を目指しつつ、地の木肌・塗膜の“息”を止めない厚みで調整。
  3. 自然発生のウェザーチェック
    • 急激な温度落差や局所加熱は避け、ラッカーの内部応力を使って細〜中幅のクラックを複合的に
    • 走向の偏り(縦流れ一辺倒)を避け、年代相応の多方向性を織り交ぜる。
  4. 艶と手触り
    • ただの“艶消し”は行わず、磨耗・皮脂・清掃痕面ごとに違う“ムラの秩序”を作る。
    • 握りのロール感は角の“残し方”で差を付け、音の立ち上がりに寄与する実利も両立。

主要工程フロー(概略)

  1. 下地準備:旧塗膜や前処理の評価 → 必要部の剥離・均し
  2. 日焼け設計:ポケット再現→日焼けラインの罫書き→木部タン/塗膜アンバーの役割分担
  3. 塗装(ニトロ):薄膜を基本に層を分けて積層(色→クリア)
  4. デカール処理:貼付→トップフィルム剥離段差フラット化→表層クリアで統合
  5. 自然ウェザーチェック:温湿管理で自然発生
  6. レリック微調整:艶・微傷・打痕の“確からしさ”を整える
  7. セットアップ周り:必要な調整・すり合わせ(※個体仕様に応じて)
  8. 最終検査/撮影:面ムラ・段差・手触り・音の立ち上がり確認 → 出荷準備

仕上がりフォト(ダイジェスト)


使用材料・塗装区分(当店の基準)

  • NOS(New Old Stock)「1954年に新品購入したかのような」完全な新古外観。薄膜ラッカーで経年の入り口を設計。
  • Closet Classic:主に保管起因の艶落ち・軽い酸化・微傷。演奏摩耗は最小。
  • DLX Closet Classic丁寧に磨かれ続けた結果としてのクラック・くすみ・軽度変色
  • Journeyman Relic:“使った痕跡はあるが乱暴ではない”実在感。今回:JC223/JC193に適用。
  • Relicクラブ使用歴のある摩耗・クラック・打痕。
  • Heavy Relic長年ツアー級の激しい消耗。今回:Tele(JC3941)参照方向

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