Custom Order Fender Japan Stratocaster Refinish & Relic|Vintage White Blonde

Custom Order

ご依頼を頂きまして誠にありがとうございます。
今回は Fender Japan Stratocaster をベースに、ビンテージ・ホワイトブロンドをテーマとしたリフィニッシュ&レリック加工を行いました。

お客様が求められたのは、単なる白系カラーではなく、MBS系のホワイトブロンドを基調にしつつ、やり過ぎない自然な経年感を持った一本です。
前面は派手な木地露出を避け、アームコンター部も色がうっすら透ける程度に留めることで、上品で説得力のあるヴィンテージ感を目指しました。

また今回は、外観だけでなく、キャビティ内部の塗装まで一度すべて剥がして再塗装しています。こうした見えない部分まで整えることで、完成後の印象から後で塗り直した感をできるだけ薄くし、全体として自然な佇まいへと導いています。

ご要望

  • Fender Japan Stratocaster をベースにしたボディリフィニッシュ
  • カラーは MBS系 White Blonde をベースに設計
  • 全体としては ライト〜ミディアム程度の自然なレリック
  • 背面は自然な使用感を再現
  • 前面は 過度な木地露出は避ける
  • アームコンター部は、木地まで出さずに色がうっすら透ける程度
  • 小さく派手な削れは入れない
  • 自然なウェザーチェック
  • ハードウェア、プラスチックパーツも全体に合わせてエイジド
  • サイドジャック加工跡を補修し、全体の印象を自然に再構築

こだわりのポイント

1. ビンテージ・ホワイトブロンドのカラーリング

今回の中心となるのは、やはりホワイトブロンドの色味設計です。
白といっても、ただ明るく塗ればよいわけではなく、乳白色の奥に木の気配が残り、さらに時間経過を思わせるやわらかな焼け感が必要になります。

今回はお客様からご提示いただいたMBS系の色味をベースにしつつ、モニター差や撮影環境による見え方の違いも踏まえ、実機として美しく見えるを優先して調色しました。
単に画像上の色を追うのではなく、実際に手に取った時に「こういうホワイトブロンドを求めていた」と感じていただけることを重視しています。


2. 自然なウェザーチェック

ウェザーチェックは入れればよいものではなく、どこに、どの程度、どの方向で出るかが重要です。
今回はレリック感を抑えめにしたいというご要望がありましたので、全体に激しく走らせるのではなく、見えたり見えなかったりする自然な細かさを意識しています。

また、前面は派手にしすぎず、アームコンター部も木地を見せない方向でまとめました。
そのため、見る角度によってはしっかり時間が経っているように見える一方、全体としては清潔感と上品さを保った仕上がりになっています。


3. 極薄ラッカー塗装

ichimonzi では、見た目だけでなく、ラッカーらしい薄さと質感を大切にしています。
今回もニトロセルロースラッカーを極薄で積み重ね、各工程の乾燥と研磨を丁寧に繰り返すことで、厚ぼったさのない塗膜を目指しました。

極薄ラッカーは、光の当たり方による表情の変化が豊かで、ホワイトブロンドのような繊細な色には特に相性が良いです。
塗膜が過度に前に出ないため、木部の存在感や、エイジング表現との整合性も取りやすくなります。


4. キャビティ内部まで剥がして再塗装

今回の大きなポイントのひとつが、キャビティ内部の塗装もすべて剥がして再塗装していることです。
表面だけを整える方法もありますが、それではどうしてもリフィニッシュ感が残りやすくなります。

見えない部分まで一度リセットし、塗装の層そのものを再構築することで、完成後の印象がより自然になります。
外から見える面だけを飾るのではなく、内部も含めて全体の履歴を整えることが、最終的な説得力に繋がります。


ビンテージ・ホワイトブロンドの奥深さ。アルダー材で挑むシースルーの表現

今回は、新たに完成したホワイトブロンドのギターについて、少しマニアックな塗装の裏話を書きたいと思います。

■ ホワイトブロンドというカラーの歴史と特徴

フェンダーの歴史において、ホワイトブロンドは非常に特別な位置付けにあるカラーです。
50年代初頭の黄味がかったブロンドから徐々に白みが強くなり、いわゆる Mary Kaye 期を思わせるような美しさへと洗練されていきました。

このカラーの最大の魅力は、ベタ塗りの白とは違い、木目がうっすら透けて見える乳白色であることです。
さらに、長年の使用によりクリアラッカーが黄変し、下地の白と混ざり合うことで、ただの白ではない、バターやクリームのような深いヴィンテージトーンへと変化していきます。

■ 通常のアッシュ材での塗装アプローチ

本来、ホワイトブロンドはアッシュ材との相性が非常に良いカラーです。
アッシュには深くはっきりした導管があり、そこへ暗めの目止めを入れてからシースルーの白を重ねることで、白い面と暗い木目の間に立体感が生まれます。

さらに年月が経つと、導管に沿って塗膜がわずかに沈み込む引けが起き、独特のヴィンテージ感が育っていきます。
このため、アッシュ×ホワイトブロンドは昔から王道の組み合わせとされています。

■ 今回の挑戦:アルダー材でのホワイトブロンド

しかし今回のボディ材はアルダーです。
アルダーにはアッシュのような深い導管がないため、同じ感覚で白を乗せてしまうと、のっぺりした単なる白に近づいてしまいます。

そこで今回は、アルダー材ならではのホワイトブロンドを成立させるために、いくつかの工夫を加えました。

白の顔料をシビアにコントロール

導管による強いコントラストが使えない分、白の濃度調整が非常に重要になります。
顔料を強く乗せすぎれば木の表情が消えてしまい、薄すぎればホワイトブロンドとしての存在感が失われます。

今回は白の濃度を慎重にコントロールし、何層にも分けて重ねることで、アルダーの穏やかな木目を殺さず、うっすら透ける表情を作っています。

アルダーでも引けを感じさせる下地設計

アルダーは表面が整いやすく、アッシュに比べるとヴィンテージ特有の塗膜の凹凸感が出にくい材です。
そこで今回は、下地工程と乾燥工程に工夫を加え、ただ平滑な白ではなく、古いギターのようなわずかな質感の差を感じられるよう設計しました。

具体的なレシピは控えますが、この下地の仕込みがあることで、最終的なホワイトブロンドに新品塗装ではない深みが生まれています。

■ 最後に

木材の特性を理解し、その材に合った方法で仕上げることで、アルダー材でも十分に奥行きのあるホワイトブロンドを表現することは可能です。
アッシュの単純な代用品としてではなく、アルダーならではの静かな美しさを持ったホワイトブロンドとして完成させることが、今回の大きなテーマでした。

これから時間が経つにつれて、ラッカーの表情はさらに育っていきます。
その変化も含めて、この一本ならではの魅力を楽しんでいただければ幸いです。

Process

1. 分解・状態確認

まずは全体を分解し、既存状態を確認しました。
本体のコンディションは良好でしたが、サイドジャック加工跡や欠品パーツの確認を行い、今回の仕上げ方針に合わせて補修・再構築の内容を整理しています。

2. 既存塗装の剥離

既存のポリ塗膜を丁寧に剥離し、木地を整えます。
今回のポイントは、表面だけでなくキャビティ内部も含めて一度すべて剥がすことでした。
これにより、完成後の見た目から余計な塗り替え感を減らし、全体の統一感を高めています。

3. サイドジャック加工部の補修

ボディサイドに移設されていたジャック穴は埋木を行い、元の印象に無理なく戻す方向で再構築しました。
大げさな補修跡が出ないよう、下地から丁寧に整えています。

4. 下地・カラーリング

シーラーからやり直し、ホワイトブロンドの透け感と深みを両立するように下地を設計。
その上で、MBS系の色味をベースとしつつ、アルダー材に最適化したホワイトブロンドを吹き重ねました。

5. クリア塗装・ウェザーチェック

極薄のラッカークリアを重ねた後、自然に見えるチェックを発生させています。
前面はやり過ぎず、背面にはほどよい使用感を持たせ、全体がバラバラに見えないように調整しました。

6. パーツのエイジング・最終組み込み

ハードウェア、プラスチックパーツも全体の風合いに合わせてエイジド。
最後に組み込み・調整を行い、見た目だけでなく実用面も含めて仕上げています。

Gallery

さいごに

今回の一本は、派手なレリックではなく、本当に古いギターが自然に育ったらこう見えるかもしれないというラインを大切にして製作しました。
ホワイトブロンドという難しい色を、アルダー材で無理なく成立させつつ、やり過ぎないウェザーチェックと極薄ラッカーでまとめたことで、静かですが深い存在感を持った仕上がりになったと思います。

ご依頼を頂きまして誠にありがとうございました。

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