Van Zandt TLV-R2 Refinish & Relic|John Frusciante 1960 Telecaster Custom 3TS / Heavy Relic – Master Build

Custom Order

この度はご依頼をいただき、誠にありがとうございます。

今回は、Van Zandt TLV-R2(ラッカー仕上げ)をベースに、John Frusciante の 1960 Telecaster Custom(3TS/Heavy Relic)をモチーフとしたリフィニッシュ&レリック加工を、Master Build 仕様にて製作しました。

目指したのは、単に「それっぽい見た目」に寄せることではありません。
フルシアンテの60 Telecaster Customが持つ、日焼け・退色・摩耗・塗膜の痩せ・パーツとの色差といった、時間の積み重ねによって生まれた説得力を、ひとつの個体として無理なく成立させることを重視しました。


overview

ベースとなったのは、ダブルバインディング仕様の Van Zandt TLV-R2 です。
この個体を、John Frusciante の 1960 Telecaster Custom を想起させる 3トーンサンバースト/Heavy Relic の方向へ最適化しました。

今回の製作では、ボディ・ネック・パーツを個別に古く見せるのではなく、「同じ年月を過ごしてきた一本」に見えるかどうかを基準に設計しています。

そのため、色味だけではなく、日焼け差、塗膜の痩せ方、光沢の残り方、ピックガードの使い込まれ方、ネック裏のグリップ摩耗まで、相互の整合性を重視しました。


Frusciante の 1960 Telecaster Custom(3TS/Heavy Relic)について

John Frusciante の Telecaster Custom は、ストラトキャスターほど頻繁に語られる一本ではありませんが、彼の機材の中でも非常に印象の強い個体です。

このギターの魅力は、単なる 3トーンサンバーストの美しさではありません。
白いダブルバインディング、ローズウッド指板、独特のFマーク入りピックガード、そして長年の使用によって生まれた複雑な退色と塗膜の表情が合わさることで、他のTelecasterにはない空気感を持っています。

特に印象的なのは、赤の退色の仕方が均一ではないこと紫外線が当たる部分とパーツに隠れた部分で色の残り方が違うこと、そしてラッカー特有の塗膜の痩せや木目の浮きが、単なる傷ではなく“時間の証拠”として成立している点です。

つまりこの個体を再現するうえで重要なのは、傷の量ではなく、時間がどう積み重なったように見えるかです。
今回も、その「時間軸」を意識して設計しました。


こだわったポイント

1. 木にダメージを与えない、徹底した旧塗装の剥離

今回まず重視したのは、旧塗装の剥離です。
単に表面を落とすだけではなく、キャビティ内やネックポケットに残った旧塗膜まで丁寧に取り除くことで、後から塗り直したような“リフィニッシュ感”を極力なくしました。

2. 個体の木材の表情を活かした最適化

同じ3トーンサンバーストでも、どの木材にも同じ色・同じ劣化が似合うわけではありません。
本個体の木地の表情を見ながら、Frusciante の 1960 Telecaster Custom の方向へ無理なく着地するよう、色味とダメージの見せ方を最適化しました。

3. サンバーストの赤の残り方・飛び方の設計

ピックガードや各パーツの裏側には鮮やかな赤が残り、紫外線が直接当たる部分は退色が進む。
この差がないと、完成後に分解した際の説得力が弱くなります。今回はその“隠れた部分の赤”まで含めて設計しました。

4. 均一すぎない退色グラデーション

ガンだけで作るサンバーストは、どうしても均一で新しい印象になりやすいです。
そこで今回はカラーリングの段階から、経年による不均一な退色や色の変化を織り込み、違和感の少ない古さへ寄せました。

5. ラッカー塗装特有の木目の浮き

ビンテージらしさは、剥がれた部分だけでは決まりません。
塗膜が残っている部分に木目がうっすら浮き出てくる、ラッカーならではの経年表現も重要です。今回はその“塗膜の上から見える木の気配”も再現しています。

6. 光沢感のムラまで含めた経年表現

実際のビンテージギターは、全体が一様に艶を失うわけではありません。
よく触れる場所、光にさらされる場所、パーツの際、エッジ周辺などで、艶の残り方には差が出ます。今回は塗膜の光沢にもグラデーションと不均一さを与えています。

7. 自然なウェザーチェック

ウェザーチェックは、本数が多ければ良いわけではありません。
線の細さ、方向、密度、交差の仕方まで含めて自然であることが重要です。今回も不自然な演出感を避け、時間の中で入ったように見えるクラックを目指しました。

8. ネックの透明感あるアンバー表現

ネックの経年色は、単純にクリアへアンバーを混ぜれば出るものではありません。
今回は透明感を損なわないように設計し、ビンテージネック特有の“澄んだ飴色”を目指しました。

9. ピックガードの使い込まれた雰囲気

ピックガードは単体で古く見せるのではなく、ボディと並んだ時に違和感なく馴染むことが重要です。
エッジ、艶、表面の細かな摩耗感を整えながら、使い込まれた空気感を丁寧に再現しました。

10. Fマークの手彫り再現

Frusciante の 1960 Telecaster Custom を象徴するポイントのひとつが、ピックガードのFマークです。
今回はこの特徴も、雰囲気優先ではなく、個体の中で不自然に浮かないよう手彫りで再現しました。

11. ネック背面のグリップ摩耗とプレイヤビリティ

ネック裏は見た目だけでなく、演奏時の感触にも直結します。
自然な塗膜の剥離感を再現しつつ、過度にザラつかせることなく、適度なサテン感で仕上げることで、プレイヤビリティにも配慮しました。


build process

1. 受入れ・分解・状態確認

まずはギターを分解し、ボディ・ネック・パーツの状態を確認します。
ダメージの位置、塗膜の状態、経年変化の方向性を整理し、どこを活かし、どこを再構築するかを決めます。

2. 旧塗装の剥離と木地調整

旧塗装を丁寧に取り除き、必要に応じて木地の表情を整えます。
キャビティ内・ネックポケットも含めて整理することで、リフィニッシュ特有の違和感を減らします。

3. 下地処理

下塗り、乾燥、研磨を繰り返しながら、塗膜が痩せた時の見え方まで見越して下地を整えます。
この段階の精度が、最終的な透明感や木目の浮き方を大きく左右します。

4. カラーリング

3トーンサンバーストのイエロー、レッド、ブラックを構築しつつ、赤の退色や日焼け差を設計します。
パーツ下の色残りや、露出部とのコントラストもこの段階で決めていきます。

5. クリア塗装と塗膜調整

クリア塗装後、乾燥・研磨を重ねながら、塗膜の厚みをコントロールします。
ここでは艶の均一化ではなく、あえて部位ごとの差が自然に見えるように調整しています。

6. レリック加工・ウェザーチェック

塗膜、木肌、エッジ、パーツ、ピックガードのすべてを個別に古くするのではなく、一本の履歴として繋がるようレリック加工を進めます。
そのうえで、自然なウェザーチェックを加え、時間軸の説得力を高めました。

7. ネック・パーツ・ピックガードの最終調整

ネックの色味、ネック裏の質感、ピックガードの摩耗感、各パーツの曇りや使用感を全体に合わせて調整し、最終的な一体感を整えます。

8. 組み込み・撮影

最終組み込み後、全体バランスを確認し、完成撮影を行います。
単体で見ても、演奏時に見ても、分解した時に見ても違和感の少ない仕上がりを目指しました。


gallery


仕上がり後の経年変化について

今回の仕上げは、届いた瞬間の見た目だけで完結するものではありません。
使用環境や演奏の積み重ねによって、ウェザーチェックのエッジや艶の引け方、ネック裏の馴染み方などが、さらに自然に育っていく余地を残しています。

つまり、完成時点がゴールではなく、ここから弾き手とともに表情が深まっていく一本としてお楽しみいただければ幸いです。


さいごに

John Frusciante の 1960 Telecaster Custom は、見た目の派手さだけで成立しているギターではありません。
塗膜の透明感、退色のムラ、使い込まれたピックガード、ネックの色合い、そして各部の時間差までも含めて、はじめて“あの一本らしさ”が立ち上がります。

今回の製作でも、ただ傷を増やすのではなく、経年の必然性が感じられるかどうかを大切にしながら仕上げました。
ichimonziでは、これからも素材・塗膜・摩耗・時間の関係まで含めて設計するリフィニッシュ/レリック加工を追求してまいります。


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ichimonzi では、Telecaster、Stratocaster、Jazzmaster、Les Paul など各種リフィニッシュ/レリック加工のご相談を承っております。

・John Frusciante 系の 3TS / Heavy Relic
・ビンテージ感を重視したニトロセルロースラッカー仕上げ
・ボディのみ、ネックのみ、パーツを含めたトータル設計
・Master Build 仕様での質感重視の再現

「このギターの雰囲気に寄せたい」「手持ちの個体を自然なビンテージ感にしたい」などございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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